韓国のバスに飲み物は持ち込めるか|同じソウルでも、バスと地下鉄で違います
テイクアウトのコーヒーを持ってバスに乗ろうとして断られた、という話を見かけます。ところが地下鉄では誰も何も言われません。同じ市内で、乗り物によって決まりが違うためです。
この記事では、乗り物ごとに整理します。2026年9月16日に、ソウル市・仁川交通公社・ソウル交通公社・法制処の公式ページで確認した内容です。
結論から
| 市内バス(ソウル・仁川) | 地下鉄 | 高速バス・市外バス | |
|---|---|---|---|
| 飲食物のきまり | あります(品目まで公表) | ありません | ありません |
| ふたのない使い捨てカップ | 断られることがあります | 決まりはありません | 決まりはありません |
| 車内で食べる | 降ろされることがあります | 禁じる条項がありません | 禁じる条項がありません |
| 引っかかる基準 | こぼれやすいか | 不潔・悪臭か | 不潔・悪臭か |
| お酒 | ふたのないカップなら不可 | 決まりはありません | 飲んで他人に危害を加えると刑事罰 |
ふたが閉まっているかどうかが、いちばん大きな分かれ目です。
下のツールで、乗る交通機関と持っているものを選んでみてください。
乗る交通機関と、持っているものを選んでください。
ソウル市・仁川交通公社・ソウル交通公社・法制処の公式ページ(2026年9月16日確認)をもとに判定しています。制度は変わることがあります。
1. 市内バス ── ソウルも仁川も、同じリストです
ソウル市の公式ページには、持ち込めるものと持ち込めないものが品目ごとに挙げられています。
| 持ち込めません | 持ち込めます |
|---|---|
| 使い捨てカップに入ったホットドリンクや氷 | 紙箱などにきちんと包装されたチキンやピザ |
| 使い捨てカップに入ったチキンやトッポッキ | ふたを閉めたプラボトルの飲み物 |
| テイクアウト用キャリア(カップを複数のせるトレイ)に入った飲食物 | 開けていない缶の飲み物 |
| ふたのないもの、ストローを刺した缶・ペットボトル・プラボトル | 密閉型タンブラー、魔法瓶 |
| ビニール袋に入った野菜・魚・肉などの食材 |
仁川交通公社のページにも、同じリストが載っています。 項目まで一致していました。ソウルだけの決まりではありません。仁川空港と市内を結ぶGRT(701番・702番)にも、この決まりが適用されます。
2. 「禁止」ではなく「断ることができる」です
ここが、多くのページと書き方が違うところです。ソウル市の原文は、こうなっています。
軽い衝撃でも簡単にこぼれたり漏れたりする飲食物、または包装されていないものでバスの中ですぐに食べられる飲食物を持ってバスに乗ろうとする場合、運転手は乗車を拒否することができる
罰金の話ではなく、運転手が断れる、という書き方です。 そして続きに、こうあります。
バスの中で食べるためではなく、持ち運ぶことだけを目的として、密封包装された飲食物や食材などを乗車時に所持することはかまわない
「車内で食べるか」が基準であって、持って乗ること自体ではありません。 市場で買った食材をビニール袋で運ぶのは問題にならない、という例まで挙げられています。
車内で食べたり飲んだりしている人を見つけた場合は、運転手がその乗客を降ろすことができる、とも書かれています。
3. 地下鉄には、その条項がありません
ソウル交通公社の旅客運送約款(1〜8号線)を読みました。持ち込みを禁じるものは、第35条に7つ挙がっています。
危険物、ストーブとコンロ、遺体、動物、不潔または悪臭で他の乗客に不快感を与えるおそれのある物、風船類、そして大容量リチウム電池です。
「飲食物」や「飲み物」という言葉は、約款のどこにもありません。 乗車を断れる18の行為にも、飲食は入っていません。たばこは入っています。
日本語のページの中には「約款で車内飲食が禁止されている」と書いているものがありますが、約款にその条項は見当たりませんでした。 該当しそうなのは「不潔または悪臭」のほうです。においの強いものは、こちらで引っかかる可能性があります。
4. 高速バス・市外バスも同じ。ただしお酒だけ違います
韓国の法制処(法令を所管する政府機関)のページで、高速バスの運送約款を確認しました。
乗客の禁止行為は10項目 ── 走行中に運転士へ話しかける、物を投げる、装置を操作する、たばこ、乱暴な言動など。飲食はここにも入っていません。
持ち込めない物品は7項目 ── 危険物、遺体、動物、不潔・悪臭などで乗客に迷惑をかけるおそれのある物品、通路をふさぐ物品など。地下鉄と同じ書き方です。
ところが、お酒だけは別です。 旅客自動車運輸事業法に、こうあります。
市外バス運送事業用の車内で、飲酒や薬物の服用をして他の人に危害を与える行為をしてはならない
これに違反すると、1年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金です。
ここは読み違えやすいところです。「飲むこと自体」ではなく、「飲んで他の人に危害を加える行為」が対象です。 缶ビールを持って乗ったら即処罰、という意味ではありません。市外バスには座席ベルトの着用義務もあります。
5. まとめると、こうなります
ふたが閉まっていれば、だいたい大丈夫です。 ペットボトルのふたを閉める、缶は開けない、タンブラーは密閉型を使う。これだけでバスの問題はほぼ避けられます。
地下鉄と高速バスには飲食を禁じる条項がありません。 ただし、においの強いものは「不潔・悪臭」で引っかかる可能性があります。キムチやスンデを車内で広げるのは、条項のあるなしとは別の話です。
この記事で確かめられなかったこと
- タクシーとリムジンバス ── 法制処のタクシー関連ページを見ましたが、飲食物についての条項は見つけられませんでした。「ない」と言い切るのではなく、見つけられなかった、とお伝えします。なお、タクシーについて定められているのは、運転手による乗車拒否のほうへの罰則でした
- 京畿道の市内バス ── ソウルと仁川は確認しましたが、京畿道は確認していません
- 条例が何年から施行されたのか ── ソウル市の公式ページに年が書かれていません。2017年と書いている記事も2018年と書いている記事もありますが、原文で確かめられませんでした
この記事は、2026年9月16日にソウル市・仁川交通公社・ソウル交通公社・法制処の公式ページで確認した内容です。制度は変わることがあります。